まだ6歳の盟である。


「この子とは暫く一緒だ。界もまりも、仲良くするんだぞ」


「……うん。ねぇ、名前、なんて言うの?」

『?』


 まりが少女に尋ねたが、少女は首を傾げ、界達の父、栄太を見上げた。
栄太は少女に中国語で説明した。


『メイ』


 少女はまりに向き直り、自分の名を告げる。


「メイは中国人だ。中国語しか喋れない。お前達もメイには中国語で話してやってくれ」


 界もまりも少しなら中国語が喋れた。
親の仕事の都合でかれこれ5年も中国で暮らしているのだ。
いくら通っているのが中国の日本人学校とは言え、子供の2人は教わらずとも理解するようになっていた。

 ここは中国、江蘇省(チャンスーしょう)。ほぼ上海(シャンハイ)と境の所。

界は6歳から11歳までその地で過ごしたのだった。


『エイタ! カスミ!!』


 反対の方から今度は白人の男女が現れ、英語で早口に栄太と何か会話を始めた。


『急がないと。もう準備は出来ているわ』

『エイタ。いや、チーフ。あなたの元で働けた事、忘れはしない』

『ケネス、オードリー。すまない。本当に』