次の日からも、同じぐらいの時間に愛がオレの部屋にやって来た。


塾の春期講習が午前9時から午後3時まであるので、その時間になるのだと言われて驚いてしまった。


「小学生なのに、6時間も勉強すんの?」


せっかくの、春休みなのに?!


「中学受験のための塾だもん、6時間なんて当たり前だよ。宿題もいっぱい出るし」


それじゃ、全然遊べないじゃん。

だいたい、「中学受験」て……。


「……中学受験っていうと、中学に入るために受験するってことだよね?」

「うん。うちの小学校、受験する子、結構いるんだよ」

「へえ……」


今まで住んでいた地域では、塾に行く小学生なんて、ほとんどいなかった。


行くとしたら、習字かピアノか英会話。


人生最初の「受験」は、高校受験が普通。


中学に入るために受験するなんて、まったく考えもしなかった。


というか。


通える所に、私立の中学なんてなかったし……。



別世界に来てしまった気がして、オレは不安になった。