何本目かのシュートが決まると、


「あ、入った!」


愛は瞳を輝かせ、


「ねえ、入ったよ!」


オレを振り返った。


そのうれしそうな笑顔に、オレは不覚にもときめいてしまった。 


愛は、かなり可愛い。


そして、学校では優しい。


だから、ものすごくモテていた。


もしも、いびられていなかったら、オレも愛に夢中になっていただろう。


正直、こんなふうに、時折ときめきを感じてしまうこともあったし。


だが、オレは愛の本性を知っていたから、ふと感じてしまったときめきも、すぐに消し去ることができるようになっていた。