地元の風花駅に着いたのは、夕方。


辺りは薄暗くなっていた。


愛の家に向かう途中、あのおじさんの花屋に立ち寄った。


「すいません」

「ハイ、いらっしゃい」


花屋のおじさんが、相変わらず人の良さそうな笑顔で振り返った。


「あの……ピンクのチューリップ、19本、お願いしたいんですけど」

「誕生日のプレゼント、だね?」


おじさんは冷やかすように言い、


「君が来るだろうと思って、ピンクのチューリップ、ちゃんと仕入れておいたよ」


ガラスケースの中の花を1本1本手に取っていたが、
 

「あれ……?」


最後の花を手にした瞬間、真顔になった。