<愛>


春休みになってすぐ、隣りの家に深見一家が引っ越してきた。


深見家は、両親と息子が2人。


弟は私と同じ新6年生らしい。



ちょうど私の入浴中に挨拶に来たので、まだ直接会ってはいなかったけど。


外で引越しの手伝いをしている彼――。


「転校生」への純粋な興味から、私は彼を観察した。


顔は……まあ、普通?

それから、え~と……。


やっぱり、普通。


いくら考えてみても、彼にピッタリの表現は「普通」以外に見つけられなかった。