「佳代」

後ろから肩を掴まれて、引き寄せられる。



「あんまり雛に当たるな」

「なんのことだか」


佳代さんは何事もなかったかのように教科書をつめ始める。
里香さんの表情は厳しかった。

………お二人の仲まで拗れてしまってはいけない。
全部私のせいなのに…。


「雛乃、時間あるか?今日も少し話したい」

「ぁ、はい」

「二人で内緒話?仲良しだなぁ」

「佳代―――!」

「良かったじゃん、友達が出来て」


にっこり笑う佳代さんは、笑顔なのに怖い。
私そんなんじゃなくて、佳代さんとお友達に戻りたくて……。
胸がキリキリいう。
こんなに大好きなのに、伝わらない。