チャイムが聞こえてくる。

さすがに戻らないとダメだよね。
村井君と一緒にいると時間が経つのが早い。
ワクワクするし、ドキドキする。

物語の主人公が冒険に出る時のような高揚感というのでしょうか。


「………っしゃーねぇ、戻るか」

「はい、行きましょう」


立ち上がるが、村井君が座り込んだまま動かない。
どうしたんでしょうか…?


「お前一人で戻れよ」

「ふぇっ」

「一緒に戻ったら、また山口に捕まるかもしれねぇだろ?」

「はっ………わかりました」

「俺も適当に戻るから、じゃーな」

「はい、ではまた」


手を振れば、右手を上げて返してくれた。
それだけでとっても幸せな気分になる。