村井君が連れて来てくれたのは日陰の伸びた校舎裏だった。
今は使われていない焼却炉がある場所。
夏なのに涼しい。
「ほら、ここ座れよ」
「はい」
村井君はコンクリートのところに案内してくれた。
腰掛けると、村井君も隣りに座り込む。
肩が触れない距離。
でも動けば触れてしまいそうなほど近い。
まだ胸がドキドキしてる。
前みたいに激しくはないけど、静かに、奥の方で動いてる。
「……授業に出ないなんて初めてです。とても不思議な気分になります」
「そうか?俺にはよくわかんねぇ」
「本来なら教室にいるハズなのに別の場所にいて、でも学内で……そわそわします」
「ホントに真面目なやつだな」
「………村井君が不真面目過ぎるんです」
「あ、そ」
会話が途切れた。
間が出来る。
村井君を見ると、村井君も私を窺っていた。