「村井君、行きましょう。遅れちゃいます」
「………こっち」
「へ?」
村井君に手を引かれた。
明らかに下駄箱とは違う方に進んでく。
「まだ離したくない」
「村井君……」
校舎の裏の方、先生の目の届かない場所に行くのかな。
授業出なきゃ……でも、振り払いたくない。
考えていると、村井君の足が止まった。
「………悪い。俺、また無理矢理……」
繋いだ手が離れる。
それが何故か名残惜しくて、手が空中をさ迷う。
なんでだろ。
私今日おかしい。
「村井君」
胸がドキドキいってる。
今度は私が村井君の手を取って歩きだす。
私、今すごく大胆なことしてる。
授業サボって、男の子の手を引いてるんだもん。
村井君もびっくりしてる。
私だって、自分で驚いてる。