「私も仲良しな幼なじみが欲しかったです。私は父の転勤について回ってたので、あまり仲良しな子が出来なかったんですよね」

「………そういやさ、お前の母さんて、元々病弱だったわけ?」

「いえ、とても元気な人でしたよ」

「そう、か………。悪ぃ、変なこと聞いた」


村井君が後ろ頭をかく。
困った時はこれすると落ち着くのかな?
私もやってみようかな…。


「いえ……それより村井君。昨日のこと、なんですが―――」


ぽりぽり。
あ、そんなでもなかった。
でも自分の体温が上がってるのがわかる。


「あれは忘れてくれ」

「……へ?」

「…取り乱しちまって悪かった。つか今日会った時点で言うべきだったな。お前があんまりいつも通りだから流しちまってたけど」

「忘れるって……」

「だってお前、覚えてないんだろ?なのにあんな一方的なこと言うこと自体間違ってた。悪かったな」

「それはいいんですけど、あの、私…。……ごめんなさい。あの頃の私はお母さんのことで頭がいっぱいで、身辺のことがあまり鮮明でないんです」