「…ごめんな。邪魔しちゃったわけだ」

「そんな、違います」



駅前のファーストフード店へ向かうまでの道のり、私は佳代さんにしたように村井君の誤解を解いた。

晩御飯を考慮して軽いものを注文する。
そして席に着くなり謝られて、萎縮してしまう。
ちゃんと説明しなかった私が悪いのに。


「私、嬉しかったですよ。里香さん、村井君のこと怖がってたのに、臆さず来て下さって……」

「まぁ確かに怖かったんだけど……雛乃が危ないと思ったら、気にしてられなかった」


里香さんっ……!
なんて雄々しい方なんでしょうか。
こんな私の為に身を挺して下さるなんて……。


「でもそうか…。じゃあ村井は、雛のことが好きなのかもな」

「…嫌われてはいないと思いますが、好いてもらえているかは謎です」


必死な村井君の表情、泣き出しそうに歪んだ顔。
………涙。

私に固執する理由はなんなんだろう。
お母さんのことも、なんで知ってたのかな。
ただ確実なのは……私、今より前に、村井君に会ってるってこと…なんだよね。

ホントは人違いかもしれない。
でも村井君の言葉を信じるなら、きっとそうだ。