「今のお前は、あの時みたいにやつれちゃいないけど……似てるんだ。空気が」

「むらい、くん…」

「俺はお前がしてくれたように、お前を助けたいんだ」


腕に力がこもる。

…必死に話してくれる村井君には悪いけど、私には何の話かわからない。
でも村井君は知ってるんだ。
あの病院にいた頃の私を。
入院していたお母さんのことを。



「…っこんなのただのエゴだって、わかってる。でも俺はっ………俺は!」



すっと体が離れて、村井君と目が合う。
…あぁ、なんて顔してるの?

男の子が泣いているところを見るのなんて初めてだ。
それもあの村井君の……。
体は離れたけど、肩に置かれた手が私と村井君を繋いでる。
触れられているところだけ、妙に熱を持っていた。



必死な村井君を見ていると思い知らされる。
私はいつもこうやって人に不幸ばかり与えるんだ。
苦しみばかり……それも無自覚に。

こんなに苦しそうな村井君を見ていたくない。
村井君がいつもみたいに戻ってくれるなら、なんだっていい。


村井君のしたいようにしよう?
ねぇ、なんでも言って下さい。
私みたいな人間の為に、心を痛めないで。