「お前の母親が病室からいなくなった時、一緒に……っ。お前も一緒に、いなくなっちまったんじゃないかって!」


目元に溜まりきらなくなった涙が零れる。


なんで、お母さんのこと……。
村井君もあの病院にいたの?
…そういえば、お母さんを最期まで大切にできたって……。

それに私、村井君を助けた……?
病院で―――?




「…でも、お前はいた。信じて……お前に会えるの信じて、待ってたんだ。たった半年ほどで会えるなんて、夢にも思わなかったけど……。…でも、俺には長かった……っ」

「あっ……」


低い背の私に合わせて、村井君は屈んだ。
村井君の手から、色んなものが伝わってくる。
大切に包むように優しく、なくさないようにしっかりと。
そんな風に抱きしめられた。

村井君の胸がドキドキいってる。
苦しそうな息遣いもわかる。