「─ありがとうございます。」

ぽとりと零れたノリの声が
いつもより擦れて聴こえた。


きっとノリには複雑な事情がある。
そこまで鈍感じゃないから
この空気からして
なんとなく解る。

私だけ知らないのは
なんだか少し疎外感を感じるけど
人には何かしら他人に簡単には
言えないことがある。
私もその1人。
だから不満に思わない。



それに何故か
いつかノリが私に
言ってくれるような気がした。



それと同時に
私もいつかノリに
言うときがくるんだと
直感した。