「…吉浜?」


心地の良い低音に反応して
顔をあげると
織田くんが私を見て
歩み寄っていた。

私に気付いてくれた…。
しかも、呼ばれた。
…よく分からないけど、くすぐったい。


「ほら。」


あの日の様に
私に手を差し伸べてくれた。


掴んだ大きな手は程よく暖かくて
私の冷たい手を包み込んで溶かした。