笠原の机に着くと
遅かったな。なんて言われたから
ムッとしてしまった。
この万年嫌味野郎。
「山根先生がこの人にぶつかってったんですよ。」
「織田!そうか、お前も呼んでたな。」
織田…どっかで聞いたな。
「おい、吉浜。お前いつもボケッとしてるから駄目なんだ。やる気もないし…だいたいなんだ、その髪は…─」
始まったよ。
だいたい髪色なんか
今関係ないし。
校則でも自由って書いてんじゃん。
「俺、用事あるんで。委員の資料、置いときます。」
そう言って踵を返したので
反射で制服の裾を掴んでしまった。
振り返った彼に
『手伝ってくれてありがとう。助かった。』
と伝えると無表情に
さっきと同じ返事がきた。
行ってしまう彼の背を
何故だか見つめる。
思い出したように
彼は振り返って
「次は気を付けろよ。」
とちょっとイタズラっぽく
柔らかく言ってくれた。
「織田、ご苦労だったな。吉浜、お前少し織田を見習え。同学年でずっと成績1位なんだぞ。お前は…─」
ああ、あの超頭良いって
有名な人だったんだ。
世の中出来た人がいるもんね。
私ためなんて信じられない。