「あぁ、知り合い」



彼女にそう答えると



「じゃあ」






店の奥へ行ってしまった




あたしの足は


うまく


動かない



あんなに


逢いたいと願っても


今まですれ違っていたのに




新しい彼女を連れたカレに


会ってしまうなんて





龍の姿を見ていたいような気持ちもあるけど




彼女しか見ていないカレは見ていられない




鉛のように重くなってしまった


あたしの足を



なんとか引きずるようにして



店を出た