「・・・会いたいから・・・」


「え?」


「モデルの龍君に会いたいから
にきまってるでしょ!」

がくっ! ・・・

テンションあがってキャーとか一人
で言ってるリッカにあたしはため息
をついた。

日向 龍(ひゅうが りゅう)
モデル界のトップらしい。

今雑誌とかで人気なんだって。


「そんなに好きなの?」


「そりゃもちろんっ! ファンとかじゃなくて本気で恋してるのっ!!!」



リッカがここまで言うなんて
本当に本気なんだなぁー。


「あたしね、バイトとかしちゃ
ダメなんだ。親が厳しくてー。
モ普通のバイトもダメなのに
モデルなんて言ったら
お父さん倒れるかも・・・。」


そ、そんなに厳しいの!?
ってか倒れるってどんな!?


「こんなチャンスめったにないんだよ!? ここの事務所、ぜんぜんオーディションとかやらないから・・・」


リッカめっちゃ泣きそうな目してる。
どーしよ。別にあたしの家は
親もなにも言わないしなぁ・・・


でもあたしがモデルなんて? 
できるの? 
この初心者のあたしが?


モデルなんて、みんないっぱい勉強して学んで何回もオーディション受けて・・・


何度落ちてもあきらめずにがんばった人だけがなれる夢。


そうじゃない??


でも・・・


[恋なんてそんなの非現実的。]


と言って、ひきこもってた時の
リッカがこんなに明るくなったん
だから親友としてまたあの頃
のリッカに戻しちゃいけないと思う。


なによりリッカ泣きそうだし。


「リッカのためだし・・・ダメもと
でうけてみようかなー・・・。」


ボソっとつぶやいただけなのに
リッカはその言葉を
聞き逃さなかった。


「えっ! ホントに? ありがとー!!」


「え!? 聞いてたの!?」


はしゃいで喜んでいるリッカに
あたしの言葉は聞こえてない
みたい。


「・・・しょうがないなー・・・」