春維が奏でるギターはナツの
知らない曲の様だったが、何故か
懐かしかった。

『高校生?』ギターを弾き
終えた春維が言った。

「うん…春維くんは?」ナツは
答えを返すが、何処か2人とも
ぎこちない…

『学校、嫌いだ。音楽があれば、
それでいい』メモ用紙が春維の
言葉を言った。

『音楽苦手?』春維が突然、
ナツへ言った。

ナツが焦って頷くのが分かった
様で春維は口笛を吹いた。

「…私…歌とか超下手だし…
不器用だし…」ナツは小さい声
でぼやいた。

『音楽好き?』沈黙の後、春維
が再び言った。

彼が何を言いたいのか、全く、
分からない。苦手だと言ったのに
好きだと言うなんて……

『別に…』春維は笑っている
ようだ。

ギターを弾き始めた春維は口笛
を吹き、ギターを止めた。
ガサゴソと何かを出したと思う
と、ハーモニカの音色が響いた。

「春維くん…
明日もココにいる…?」ナツは
思い切って言った。

春維が反対側で頷くのがナツ
には分かった。