「はーーっ、優華ちゃんに見られちゃったじゃないっ、やだなっ」


ちょっと、不機嫌な顔をして、陽介を見上げた。


「え?なんで?」


不思議な顔をして、私を見下ろす陽介。


まだ、私の腰に回した手は離さない。


「だって、キスくらい誰にも見られず、二人でゆっくりしたいじゃない?」


って、やだっ


私、何を言ってるんだろっ、ゆっくりしたいだなんて・・・・


それを聞いてニヤリと口元を上げた陽介、


「ふーん、俺は、どこでだって、誰がいたって、麻紀にキスしたいけど?

ゆっくりっていうなら、

明日、麻紀がイヤっていうまでしてやるよ、それ以上のこともさ」


「・・・っ・・・陽介・・・////」


恥ずかしくなって、陽介の胸に顔を埋める。


どーして、こう、サラっと何でもないように言えるの?


でも、そんな陽介の一語一句が私を幸せにするの、陽介は知ってる?


そんな余韻に浸る間もなく、


お店の自動ドアが開く。


陽介の腕の中から離れ、ケーキの並べられたガラスケースの方へ駆けだす。