「麻紀、家まで送ってくよ

腰に回っていた
陽介の腕が離れ、
私の手を引こうと
手を握る

「え? も、もう?」

せっかく、陽介と会えたのに、
こうして、
思ってること、伝えたのに…

今度、いつ会えるかわかんないのに…

そんなの…いや…

もっと、陽介といたい…


私は、
その場に立ち尽くし
玄関に向かおうとする
陽介の手を離そうとした

「麻紀…?」

一歩も動こうとしない私を
陽介は、不思議そうに見つめる…

だけど、
私は、目を逸らし
俯いた

「どした?麻紀?」

陽介が、
私の顔を覗こうと
背中を丸める

「イヤ…
帰りたく…ない…」

俯いたまま
そう呟いた…