そんな、邪な気持ちを一掃するかのように、


厨房の中の私に、お盆にお皿やカップを乗せた陽介が入ってきた。


ケーキに使う、フルーツをカットしている私の腰に手を回し、


耳元に息を吹きかけた。


「ひやぁっ ///」


「ははっ、何て声出すんだよ」


幸い、厨房には、私と陽介だけだったから、皆に見られることはなかったけど、


きっと、狙ってやったに違いない。


「もうっ、危ないでっ・・・」


怒る口元を、陽介の唇が塞いだ。


「んっ・・・」


すぐに、唇は離されたけど・・・・



「見ーちゃったっ、いいのかしらぁ、こんなとこでー」


ニヤリと口元を上げ


優華ちゃんが、厨房のカウンターに立っていた。


「ったく、邪魔すんなっ」


やだな、こんなとこ見られるなんて・・・・


私が少し、俯くと、陽介は


私の背中を撫でた。


大丈夫だから、と目が語ってた。


「いつみ、お前、店の時間いーのかよ?」


お店の時計に目を向け、陽介が彼女にキツイ視線を向けた。


「陽介、そんな邪険にしなくってもいいじゃなーい、

はいはい、邪魔モノは退散するわよっーだっ

じゃーねっ、麻紀」


レジに、代金を置いて、手をヒラヒラさせながら、踵を返し出ていった。