「あ、あぁ…
麻紀…、ずっと会えなくて…ゴメン…」
私の腰に腕を絡ませ、
ギュッと抱きしめられた
「う…ん、
陽介…酷いよ…
メールも、電話も、全然無いから
もう、私の事、忘れちゃったのかな、って
あの、キレイな女の人と、
付き合ってるのかな…って
どんどん、悪い方へ考えちゃって…」
あ、やだ…
目の前が、ぼやけてくる…
俯きながら、
必死に涙を堪える
「麻紀…
ごめんな…麻紀が不安になるのも、
ムリもないよな…
俺、考えが甘かったんだ…
跡取りになることを、
迷って、迷って…
でも、俺が円山の姓を受け継ぐことで
母さんに、
これ以上負担かけなくても
済むと思って、
受けたんだ…
だけど、
大学の方と、両立させるのが
想像以上に、厳しい毎日でさ…
おまけに、俺の携帯取り上げられてて、
新しいのを与えられたけど、
そんなの、使えねーし…
ホント、ゴメンな…」
ぐっ、と腰に回された腕に力が入り、
キツく抱きしめられた
「うん…
陽介、ひとつ、聞いていい?
あの、一緒にいた女の人は?」
聞くのが、少し怖かったけど、
思いきって聞いてみた
「ん?
あぁ、沙希のことか…?」
沙希っていうんだ…
「アイツは、俺の腹違いの姉だ…
だから、
麻紀が心配するようなコトは、
決してないから…」
腰に回した腕が緩められ
私の瞳を覗きこむ
「そう…なんだ…
少し、安心した…」
そう、少しだけ…
だって、
彼女が陽介を見る目は違っていたから…