「さ、先輩、そんなの眺めてたら、
時間、なくなっちゃいますよ
座りましょう」


私の手を引き、カウンターへと導いた


カウンターの席に座ると、


「湊人、珍しいなー、お前がカノジョ連れてくるなんて」


グラスを磨いていたオーナーさんが、
ニヤリとしながら、
坂口くんの顔を見た


「オーナー、そんなんじゃないっすよー
先輩が、迷惑そうな顔してんじゃないっすかぁ」


照れて頭を掻く姿が
なんとなくカワイイな…
って思って
クスッと笑ってしまった


「先輩、やっぱり、そーゆうカオ…
してた方がカワイイっすよ」

隣の私の顔を
覗きこみながら、

また

恥ずかしくなるよーなコト
へっきで言うんだもんなぁ…


「またぁ、そんなコト言ってぇ
そーゆーコトは、
彼女に言いなさいよぉ」


言った途端
坂口くんの表情が
少し、固くなった
あれ…?


「はい、どうぞ…」


すると
オーナーが注文もしてないのに、
オレンジティーとキッシュを
私の目の前に置いた


「あのっ…」


「いーの、いーの、湊人の奢りだから」


ニヤリと笑いながらオーナーさんが坂口くんを見た