「おー、アツいねぇ、一ノ瀬ぇ」


私の背後から、聞き覚えある声。


振り返ると、さっきまで、一緒に映研サークルの部室にいた


「と、東野先輩っ!」


陽介の回した腕から逃げようと身体を動かしてみたけど、


よけいに陽介の腕が私の腰に絡みついて離してくれない。


わー、な、なんか、恥ずかしいっ


「あぁ、どーぞ、続けて、一ノ瀬、また明日な」


私たちのことなど、そう気にも留めず、タバコを加え、


片手をヒラヒラさせながら、そのまま去って行った。


「麻紀、誰?」


去っていく先輩の背中に目をやり、陽介から問いかけられた。


「サークルの、先輩よ、今週は、新入生への勧誘チラシ、部員みんなで作ってるの」


「そうか・・・」


「どうしたの?」


少し、陽介が不機嫌?になったみたい。


「もしかして・・・・ヤキモチ妬いてくれたの?」


と、思ったケド、少し、陽介の表情が曇った。


「ちげーよ、麻紀からサークルの話とか、聞いたことなかったからさ・・・
ちょっとな・・・」


そうだった、


バイトでウチに来て、ご飯食べて、私の部屋に来た時も、


サークルのことは、ほとんどといっていいほど、話してなかった。