「ありがとう、陽介」
そして、今度は麻紀から、キスをくれた。
「いつもしてろよ、男避けだからな、それ」
「うん、大切にする。コレも、ちゃんとしてるから」
この前、贈ったペンダントを片手で大事そうに触る。
「陽介、今日の用事って・・・何だったの?」
「うん・・・・・」
麻紀を俺の膝から、すぐ隣に座らせ、
麻紀の手をしっかりと握りながら、
今日の出来事を全て麻紀に伝えた。
「・・・・・・」
麻紀の視線は、床のカーペットのの1点を見つめ、無言。
「麻紀・・・?」
「う、うん・・・・」
ゆっくりと視線を俺に向けながら、
「陽介・・・その・・・跡取りの勉強もするってことは、
もう、ウチには来られなくなっちゃうんだよね?・・・・」
「時間のある時しか、来られなくなる可能性は大・・・かな・・・」
「そっか・・・・淋しく・・・なるね・・・・」
床へと視線を戻した麻紀の横顔を見れば、
ツーッっと、一筋の涙が落ちて行く。