バイトを終え、いつもなら麻紀の家で、飯を食べさせてもらって帰るのだけど、
今日は、遠慮した。
麻紀に申し訳ない気持ちで、一緒に食事するには顔を合わせにくいのと、
母さんに、本当のことを早く聞きたかったから。
家に帰ってリビングまで行くと、
ソファーに広げられた洗濯物をたたむ母さんの姿があった。
「あら、珍しい、今日は早かったのね? お店早く終わったの?ご飯は?」
俺の帰宅に平然と問いかける。
「そんなことより! ちょっと聞きたいことあんだけどっ!!」
俺の不機嫌に、目を大きく見開く母。
「な~に? 何、怒ってるの? 何かヤなことでもあったの?」
ったく!! 大アリだよっ!!なんで、こんなフツーにしてんだよっ!
「今日、円山製菓の秘書のヒトが来た!
円山繁之って誰?! 俺の父さんは、死んだんじゃなかったの?!
一体、どうゆうことだよ!母さん!!」
洗濯物をたたむ手を止め、俺を見いてたかと思うと、立ち上がり、寝室へと向かっていき、白い封書を持って戻ってきた。
そして、それをテーブルに置き、
「ゴメンね、陽介、今まで黙ってて・・・そこに写ってるヒトが、あなたのお父さん、円山繁之さんよ。」
俺は、それを手に取り、中身を取り出し、見た。
赤ん坊を抱いた母さんと、隣には知らない男の人が写っていた。