「麻紀っ!

これって…、もしかして…麻紀が?」


俺の顔を見て、頷く麻紀


「ロールケーキって、
巻く時、難しいね…

もー、何度も
お父さんに、違うっ!って
怒られちゃったぁ

陽介、
お店のロールケーキ
あんなにキレイに
巻けるよね!

尊敬しちゃうっ!」


いや、いや、

俺の方が、麻紀を尊敬するよっ!


嫌いなケーキを
俺のためにまた
作ってくれるなんてさっ!


また、さらに惚れたよ…


「麻紀、ゴメン…

俺、今日、何も麻紀にあげられない…」


ロールケーキから
麻紀に視線を移す


「陽介?

私は、何にもいらないよ

だって、私には、コレがあるしねっ」


俺がプレゼントした
左薬指に嵌めた指輪を
愛おしそうに眺め、触った


「麻紀、コレ食べていい?」


「もちろん…、全部食べてね」
そのあと…

私を、食べていいからねっ」


フォークに刺したロールケーキを
ボトリと落としてしまった…

それくらい、
俺は、ビックリして固まった


「麻紀っ、お前って
そんなコト、言うんだ…」


そんなの、陽介だけにだよ、
と、にっこりと笑って

俺がロールケーキを
口に運ぶ様を見ていた