お店を閉めるため自動ドアのスイッチを切り、


ドアのガラスを拭いていると、


「麻紀・・・」


ホールの片付けをして
トレイにお皿やカップを乗せて陽介が私に近づいてきた。


「どうしたの?」

トレイをガラスケースの上に置き、
私の顔を見てる陽介の表情は、固く口元もキュッと結んでる。


「陽介?・・・」


口を開かない陽介の腕を触ろうとした時、


「麻紀、ゴメン・・・明日、ダメになった・・」


曇った表情の陽介・・・・
グッと握りこぶしを作ってる。


そんな辛そうなカオしないで?


楽しみにしてたけど、陽介にとって大事な用が出来たんだね


「大丈夫だよ さっきの人と・・・だよね?
また今度埋め合わせしてくれる?」


陽介に心配かけないよう


無理やり笑顔を作った。


ホントは


少しホッとした自分もいる、陽介とはじめての・・・だから。


でも


私との約束より優先させたコトって、なに?・・・


ちょっと、妬ける・・・


「必ず、する。ゴメン、麻紀 明日、用事終わったら連絡する」


片手を私の頬に触れ、すぐに離し、厨房の方へ向かった。


私の頬に触れた陽介の手が、いつもより冷たく、


陽介の不安な気持ちが私にも伝わったような気がした。


陽介をそんな気持ちにさせてるのは、何なの?