目頭に熱が籠もる。徐々に流れる涙。
あたしはそのまま砂浜に、両手をつき、泣き喚いた。
通行人の怪しむ目も気にせずにひたすら…泣き喚く。
「…たし、云ってない」
あたし、云ってないのに
稔にまだ“好き”って、云ってないのにぃ…ッ!
「なんで、消えちゃうのさ…馬鹿ぁ…!」
稔…ずるい。
1人だけ、好き勝手言っちゃってさ?
あたしには何も言わしてくれなかったよね。
あたしだって、云いたい。叫びたい。
「大好きぃ…!」
稔…稔…。勝手に逝かないでよ。
あたし…稔がいない毎日なんて考えられないよ…まだ。
「幽霊だってなんだっていい。どんな形でもいいから…傍にいてよ…稔」
聞き慣れた声。
「み、みの…る…?」
勢いよく顔を上げたあたしの目に飛び込んできたものは、照れながら耳の後ろを掻く稔の姿。
「な、なんで…」
驚いて唖然とするあたしに稔は、戸惑いを隠せない表情を見せている。
そして…
『なぁ…成仏ってどうやってすんの?』
そんなことを、言う。
「し、知るかぁぁぁぁぁあッッ!!!」
あたり一面にあたしの声が響きわたった。
…ねぇ、稔。
後少しでいいからさ、
あたしの我が儘聞いて
稔がいなくても立派に生きれるくらい立派になるまで、あたしの傍にいてよ
なにもしなくていいから
あたしの傍で馬鹿みたく笑っているだけでいいからさ、あたしの傍にいてよ
あと少し…
ほんの少しでいいから
『なぁ、詩歌。後少しでいいから…お前の傍にいさせてくれよ』
そんな稔の言葉。
あたしは二つ返事で勢いよく頷いた。
ーENDー
ようやく、ENDを迎えました( ̄∀ ̄)
1ヶ月という短い連載期間とても楽しく書けたと思います。
なんといっても、前の連載作品…“君と歩む夢みて”はかなり長かったからですね…
こんな駄文に最後までお付き合い頂き本当に有り難う御座いました!
ー2010,03,22
梨殊