僕を除いて、話はどんどんとわけのわからない方向へと進んでいく。


「オレと付き合ってみない?」


爽やかすぎる桃井の笑顔が、異常に近い。

鼻と鼻がくっつきそうな程の至近距離だ。


横で橘が何かわめいているのだが、僕はそれどころではない。



目の前の、美青年が、イケメンが、桃井が、この僕に迫っているのだから。




「ちょ…ちょっ…、僕は女の子の方が…」


「彼女いるんだ?」


「いや、いないけど…、あ、今はって事で、先では欲しいし」


「じゃ、今は、いいんじゃない?」



桃井が瞬きをする度に、はちみつ色の長い睫毛が揺れる。


男のくせに、何で、こんなに顔が整ってるんだ?


って、そんな事は、どうでもいいし…。