「…使命、か…。」

セイジさんが両手をテーブルの上で組み、そう呟いた。


予言をしたという男の子、
それも彼らの残した「道標」の一つじゃないかと、そう思う…。



―― ポトッ…

コンの口から、食べかけの食事が床に落ちた。

気が付けば、誰もが食事をする手を止め、目の前の野菜スープだけが静かに白い湯気を放っていた。


「分かった…。お願いするよ…、キース君。」

セイジさんがそう微笑んだ。


「…スープ、冷めちゃったわね!キースちゃん、おかわりは?明日に備えて沢山食べてね?」

ユリネさんは、急に明るく振る舞った。
私にはそれぐらいしか出来ないから、という優しい心が俺に伝わってくる。


「じゃあ…お願いするよ。」

立ち上がるユリネさんに、自分の皿を差し出し目を細めた。


それに負けじと鼻息をあらげながら、コンが自分の皿の中身をガツガツと食べ、ハルカを見上げる。


ワンッ!
『ハルカッ!俺にもおかわりッ!』

「…え!?あ、コンは駄目ッ!食べ過ぎ!」


『イヤだッ!くれッ!』

「駄目~ッ!」

ハルカは徐々に笑顔を取り戻しながら、首を振った。