「こんにちは。」




今日からうちに家庭教師が来る。


家庭教師といっても彼は、


市内の某有名公立高校に通う


高校一年生だった。



当時、小学校六年生の私は


近所に頭のいいお兄ちゃんがいる、


ということで、お母さんがお願いして


家庭教師をしてもらうことになった。




今日が初めて来る日。


私はその人を連れて勉強部屋に行った。


「よろしく!沢木 純だよ。 わかんないとこあったら遠慮せず聞いてね。」


彼は緊張する私に優しい言葉をかけてくれた。


「真‥奈‥‥です。」


私は名前しか言えなかった。



彼は丁寧に勉強を教えてくれた。


学校の先生よりも、わかりやすいと思った。




「じゃ、今日はもう俺帰るね。また来週くるよ。今日教えたとこ、早めに復習しといてね。またね。」



「ありがとうございました」




彼はお母さんにお辞儀をして、


足早に帰って行った。


それいらい“純先生”に


勉強を教えてもらうことが


楽しみになった。


勉強が終わったあとの先生との


会話が毎回、楽しみだった。



いろいろなことを話してくれた。