最初に彼と出会ったのは、2か月前。
出会ったと言っても、一方的に私が意識し出したと言ったほうが正しいけど。
12月に入って、いよいよ冬も本格的になってきたってときに
彼は肉まんを買いにきた。
「すみません、肉まんひとつ下さい。」
「はい、かしこまりました。」
このときは、ただのお客さんとしか見てなかった。
そりゃ毎日流れるように人は来るし、学生なんか溢れてる。
いくら美少年っていったって、いちいち意識してられない。
「120円になります。」
そう言いながら肉まんを袋に入れた。
そして商品をカウンターに置いて清算のためにレジを打つと、
彼はお金を差し出した。
普通の光景。
ただの店員とお客。
彼は200円を差し出していた。
そして私もそのお金を受け取るために手を差し出した。
そして私は彼の手に触れた。
・・・冷たい。