「侑姫ちゃんは余計な事は考えなくていいから、今は一番忙しい時期なわけだし」


そうだよね
私は頑張らなきゃいけない

1人で戦ってるわけじゃないから、応援してくれてるみんなのためにも、こんな所で終われない。


「純君、私がんばる!だから純君も一緒に頑張ってくれるよね?」


地味に上目遣いをして純君を見つめる。
この人は絶対裏切らない

私のパートナーだもん。


「当たり前な事言わせないの」


にっこり笑って私のアタマを撫でてくれる純君にさすがの私もクラっときた。

さっきまでの不安も一気になくなる。
やっぱ純君てすごいマネージャーなのかも?



そのあとはいつも通り車で仕事場まで送ってもらった。


その中で私はぼーっとしながらもうそろそろ終わってしまう夏休みを、このまま何もしないで過ごすわけにはいかないなと考えていた。



でも、純君の言うと通り、今マスコミに見つかったら…


夏定番の海とかプールとか行きたいけど、


私はそれよりも大事なものを持ってる。





アイドルを辞めないで一般人のように遊びたいと思うのは贅沢なことなのかな?

こんなんじゃ、お金を貯めてるだけで全然使い道ないよ。




「はあぁ~~」



「何溜息ついてるの?もうすぐテレビ局つくよ?」



知らぬ間に溜息ついてた。


「ああ、うん。 ねぇ、純君は私についてずっと仕事しててさ、遊ぶ暇もないよね?いいの?」


バックミラー越しに純君の顔を見る。
しかし当たり前のように純君は私を見ない。


「いや、僕はマネージャーだから普通のサラリーマン程度には休みがとれるんだよ。でもね、」



会話を区切ったついでにミラー越しに一瞬私の顔を見る。