「変装すれば普通のデートもできるでしょ、侑姫ちゃん女優だし」


変装かあ…

普通のカップルは変装してデートしたりしないのに


そう心の中で文句を言いながら純君のカップを流しに運ぼうと手にした瞬間。


"侑姫"

「キャッ」

一瞬だけ凄い寒気に襲われて身震いした。
その瞬間、自分の手からカップが滑り落ちて床にたたきつけられてしまった。


「侑姫ちゃん!歩いちゃだめ!僕が片付けるから動かないでね」


割ってしまったカップのそばで棒立ちしてるアタシに純君は心配をかけながら割れたカップの片付けを始めた


「やだ、可愛いしお気に入りだったカップなのに…」


掃除機をとりに行きながら考える。


今、呼ばれた気がした。
あの声の形は絶対忘れない、あの人の声だった。