開けっ放しの窓から入る風で、しっきになびく髪。

私の横で、時折銀色が光る。

女の私より綺麗な髪。

「どこ見てんの〜?」

「べっ…別に」

「なんだそれ〜」

祭りの時、子供に飴をあげる貴を見てて思った。

貴は少年のまま、時が止まったような子供っぽさがある。

「二人ともウケる〜」

ひろみが貴に、今回の入院の話をどんなふうにしたのかなんて知るつもりはない。

こんなこと言うの変だけど、深く追及してどうにかなるものかとも思う。

思いがせめぎ合うほど、不安は募る。

しばらく話した後、貴は壁の時計を見上げて、立ち上がった。

「部活あるからそろそろ戻るわ。瞑どうする?」

「卓人も来るだろうし、私も帰ろうかな」

私は、ベッドの足元に置かれた鞄を手に取った。

「またね」

と言ったひろみの声を最後に、部屋がしんと静まった。

病院から一番近くのバス停まで少しだけ歩き、そこから古ぼけて少し錆が出たバスに乗り、学校までは十五分ほどで着いた。

私は少しでもひろみの支えになれてるかな?

ひろみがどんな病気でも私はずっと友達でいたい。

私とひろみの気持ちが同じなら良いな、と思う。