「―…っるせーな!それはお前の知らないとこで解決してんだよっ!」


うわ〜
嫌な展開来たよ。


『大声出すなよ。ここ病院なんだからさ…』


逃げたいけど…


あたし絡んでるし。


めんどくさ。


『これ。見ちゃうよ?』


「別に良いよ。ちゃんと返してくれんなら」


『返すに決まってんじゃん』


たったあれだけの短文を見たあたしの、このノートへの興味は薄れていた。


明希の中で、結衣はあたしであってあたしじゃない。


そう思った瞬間に、恐らく結衣…


いや、他人のことを綴った日記のような物を見る気にならなくなったからだ。


『こんな物なんの利益になんのさ』


手の中にあるノートがバサバサと鳴いて開きたがる。


自分への利益は求めても、他人へなにかしようとはしない。






“宇宙で生まれた子供はさ、地球で暮らせると思う?”





それはつまり、病気を持って生まれた僕の気持ちが、あなたには分かりますか?と言う問い掛けだろう。




―風が冷たかった。


こんな風に知らされなくても、夏が完璧に終わったことくらい分かってる。


分かってるんだ―…