「…落としたの?」


『あっ、えと…、見るつもりは無かったんだけどさっ!』


あたしは急いでノートを拾って明希の胸元に押し付けた。



「読まれちゃったね……」



『ごめん』


どんなに顔がクシャクシャになっても、あたしの目から涙はもう流れない。


この状況が


苦しすぎた―


「結衣って子はさ、一年前ぐらいに会ったんだ」


『…可愛い子?』


自分で聞いて笑えた。


「髪が銀色で綺麗な子」


『それって、髪を褒めてるの?それとも顔?』


「全体的にだよ。中身も全部」


『そう…、』


「あんたちょっと似てる。結衣に」


だって。


あたしが、その結衣なんだから当たり前じゃない…


「でも髪が違うね。あんた茶色だし、結衣は腕にそんなの無いし。ピアスも開いてないから」


腕にってのは、根性焼きかな?


忘れちゃったんだね。


明希、見たとき凄く怒ったんだよ―?


タカは溜め息を一つ吐いた後、両膝に肘をついて頬杖しながらこっちを見ていた。


『あたし、結衣ちゃんみたくなれるかな』


「なんで?」


『知らない人が毎日来ると怖いじゃん?』