『あたしさ…明希とココで出会う前から、明希のこと知ってたみたいなんだ』


情けない声。


『最初は誰か全然知らなくて、明希に会って“そうかも”って…』


一年のとき教室に入る一瞬で見た、あの銀髪。


『やっぱ同じ人だった』


どんどん口がへの字に曲がって、堪えきれない何かがグルグルと渦巻いてく。


『髪が綺麗だったから―…』


髪の毛が排水口に詰まるような。


『綺麗な銀色だったから…』


タカはずっと黙って聞いていた。


『真似したの。好奇心で。明希どうして黒くなったままなの?どうして…』


またあの色にしないの?


「分かったから…泣くな」


『ごめん…。今泣き止むから…』


こんな姿、見られたくない…


部屋から出ようとして立ち上がったとき、足がテーブルに当たって大きく動いた。


『あっ……………、』



“同じ学校の制服を着た彼女。名前は、結衣。”



拾う手が止まる。


ノートは自ら見て欲しいと言うように、そのページで開いたまま。


タカはノートを横目でチラッと見てから、あたしの腕を掴んだ。


『コレって…』


あたしのこと―…?