『祭り終わっちゃった…』


今年が明希と出会ってから二回目の夏祭り。


『また一緒に行かないままだったね』


気が付けばいつも、


『明日も…リンゴ買って来るから』


あたし、独り。





「…な〜に独り言いってんの?怖いよ?」


背中から声がしたから、ビックリして振り返って見たら、タカだった。


「んな驚かせたつもりないんだけど」


タカは笑いながら、もう一つあった丸椅子をあたしの横に持ってきて座った。


『タカどうしよ。また明希怒らせちゃった…』


「いっつも怒ってんだからほっとけよ。俺と居るときもそうだし」


そう言って、長いため息をついたタカは自分の膝をポンポンと叩いた。


『あたしだけかと思ってた…』


「まあ俺にはただの八つ当たりだけど…」


『あたしには違うのかな…』


八つ当たりとまでは行かないけど、思い通りにならなくてイライラしてるのは伝わる。


「ちげーよ!だって明希ホントはっ…」


『ホントは?何かあんの?』


「いや…。なんでもないわ」


タカは言い掛けた言葉を濁しながら、気まずそうに俯いた。


絶対に何か隠してる。