「私、ちょっと失礼するわ」
と、ミヒャンは言って、トイレに行った。

----ブーブーブーッ-----

携帯のバイブ音がなり、ミヒャンは、携帯に出た。

「もしもし」

「ドヨンさん?」

「どなた?」

「ははは、酷いなあ。僕を覚えてくれていないの?イ・ルクだよ」
と、電話の相手は、言った。

「あ〜、ルクさんね。忙しくて名前の表示見なかったわ」

「相変わらず忙しいんだね。僕は、今はバリ島で休暇を取っているんだ」
「あら、羨ましいわ。今年、あなたとまた共演出来ると聞いて、嬉しかったわ。しかも、ハリウッドで」

「僕もだよ。じゃあ、君も忙しいだろうから電話切るね」

「わかったわ。じゃあ」

ミヒャンは、携帯を着ると、大きな鏡に映る自分を見て、トイレを出た。
-------ボンッ---------
「あっ、すみません!!」
と、ミヒャンと同時に、男性は言った。

ミヒャンは、顔をあげると、男性に視線が止まった。

癖毛の黒髪に、眼鏡、地味な紺色のネクタイに黒いスーツ、ミヒャンと同じくらいの身長。

男性は、ミヒャンを見ても、何の驚きもしない。
通常であったら、誰もが驚くはず、あの韓国トップスター、“ハン・ドヨン”なのだ。

ミヒャンは、おかしくて、笑ってしまった。

「あっ、何か?」
と、男性は、不思議そうに言った。

「何でもないわ。ごめんなさい」

ミヒャンは、そう言って、ミーティングルームへと向かった。