二人のほうに視線を戻すと、亜悟くんが愛理香ちゃんを抱きしめていた。

そして、顔を見合わせた二人は顔を近づけて行った。

もう見ていられなくて、私は屋上から教室に戻った。

どうやって教室に戻ったかは記憶になくて、

自分の席に座って、亜悟くんが戻って来るまでに考えることはたくさんあった。

別れは自分から言おう。

せめて自分から言わないと惨め過ぎる。

あぁ、大学も違うところにすれば良かった。

入学しないで、来年別の学校に入りなおそうかな?

でも、合格祝いとかもうもらってるし。

亜悟くんと同じ大学に行くためにすごい勉強した。

無理してレベルの高い大学目指すんじゃなかった。

私はもう、誰も好きな人にならない。

一人で生きていけるように、がんばって勉強しよう。

学部も違うから亜悟くんに会うこともないだろう。


いつの間にか教室は真っ暗になっていて、

どれくらい自分はここにいたのかわからない。

「あげは、いたのか」