「チョコ美味かったよ」

亜悟くんの手には、私がつぶしたチョコの箱があった。

よく見ると、足跡もついている。

そっか、これを踏みつけたんだ。

それを食べたの?

もの好きだね。

「そう」

「話をさせてくれないか?」

「全部を話したよ」

「愛理香のチョコはもらってない。返したよ」

「そう」

でもキスしてた。

チョコをもらうよりももっとひどいと思う。

「抱き合ってた。キスもしてた。これ以上、亜悟くんを信じる理由がない」

「確かに抱きしめた、けどキスはしてない。しそうになったけど、お前の顔が浮かんだんだ」

「それは罪悪感だよ。別れてないのに違う人にキスしようとしたから、好きとかそういうものじゃないよ。私のことは気にしないで」

「あげは、頼む。オレにチャンスをくれ」

「愛理香ちゃんのチョコを渡されたときに、チャンスをあげたよ」