「本命のチョコしかもらわないんでしょ。だったら私のチョコなんていらないじゃん」

箱をつかんで、投げつけた。

箱が壁にぶつかる音だけが聞こえた。

「さよなら」

もうここにはいたくなくて、私はカバンも持たずに教室を出た。

涙とか鼻水とか色んなものが出たけど、気にしないで走り続けた。



まっすぐ家には帰らず、寄り道をして返った。

ケータイも置いてきたから、先生が心配してるかもしれない。

髪を切ったから首がスースーする。

知り合いの美容師さんに、髪を切ってもらった。

先生ビックリするかもね。

家の前に帰ってくると、見知った人影があった。

「鮎川くん、何してるの?」

別れたばっかりの亜悟くんがいた。

「遅かったな・・・。あぁ、髪を切ったのか?似合ってる」

「お世辞はいらないよ」

髪が長いほうが良いって言ったのは君だよ。