-雪花ちゃんと咲ちゃん-




「きよかーサッカーやろうぜー！」


園庭をとことこと歩く雪花ちゃんにサッカーをしていた男の子たちから声がかかりました。

雪花ちゃんはとても運動ができるので、一人で歩いていても女の子よりも男の子にこうして誘われることが多いのです。


「んー？うん、いいy「雪花っ！！！」



雪花ちゃんが答えようとすると、後ろからそれを鋭く制止する声が上がりました。



「へ…？」



声のした方を向くと、そこには咲ちゃんが怖い顔をして立っていました。


そんな咲ちゃんを見た先ほど雪花ちゃんを誘った男の子は、げっと声を出して明らかに怯えています。



一方、それを見た雪花ちゃんはというと特に臆することもなく、ただ不思議そうに首をかしげました。


「咲、どうした？」

「なんでいっつもあたしを放って男子共のところに行っちゃうのよ！？」


咲ちゃんは、いつも雪花ちゃんが男の子たちと遊んで自分と遊んでくれないことに怒っているようです。


「いや、咲はいつも他の女の子たちと遊んでるし、その方が楽しいかな…って」



頬をぽりぽりとかきながら正直に答えました。


すると今まで怖い顔をしていた咲ちゃんは、みるみる内に目にいっぱいの涙を溜めて、とうとう泣き出してしまいました。