「時々思うんだ。自分の人生はこれでいいのか?って。」



闇に包まれた部屋。


ベッドの上で
私たちは身を寄せ合い
お互いの声に、呼吸に耳をすませる。



「美春ちゃんはさ、歴史の上に運命があると思う?
それとも運命が歴史を作ってると思う?」


「…難しい、質問ですね。」


「確かにね。俺はね、歴史の上に運命があると思うんだ。
だから、どんなに変えようとしても結局は歴史は決まってる。」


「じゃあ、最初から人生が決まってるってことですか?」


「うん。…だけど今は、それを変えたい。」


「え?」


「運命が歴史を作ってると、考えたくなったんだ。
まだ、未来を変えられると信じたい。」


――運命が、歴史を作る。


「私も…そう思いたいです。」


ぼそりと呟き、
倉田瑞季へと向き直る。