「ずっと、書き留めてるんだ。」
何故か同じ態勢のまま、
ノートを持ち上げパラパラと捲りだす。
「あの…恥ずかしいので、あまり見ないでください。」
そういう私も、
彼の胸の上にいるままだったり。
「あれ?これは…途中?」
「…あ!それはダメです!」
彼の手からノートを抜き取り、
今度は離すまいと握り締めた。
慌てて上半身を起こしたがために腰に負担がかかる。
地味に、痛い。
でも見せるわけにはいかなかった。
だってこれは、
彼に向けての言葉だから。
「これは、今書き途中なんです…」
「てことは、曲も?」
「はい。」
「そうなんだ。…じゃあ」
聞かせてね、完成したら。
天井を見つめたまま、言う。
「一番に、聞かせて。」
今度は、体を起こしながら。