「美春ちゃん」


いつしか、彼はそう呼ぶようになっていた。


プリンを食べ終えた私たちは、
眠気が差してきた頃


「これ、なぁに?」


「これ…?」


彼の手には、
一冊のノートが握られていた。


「そ、それはダメです!」


慌てて走り寄り、
パッと取り上げた。


倉田瑞季は私を見つめ、
「なんか怪しい〜」
なんて目を細める。


「これは、駄目です。」


その視線から逃れるように
ノートを胸元でガッチリと持ち直す。



そんな私の様子を見兼ねて、
ズイッと体を寄せてくる。



綺麗な顔が間近になり、
目を泳がせる。


「…まぁ、いっか。」


スッと離れた彼を横目に、
安堵で力が抜けた。


「なんて、ね。」


「……えっ?!」