「高校時代、軽音部に入ってて、そこでギターを始めたのが…きっかけですね。
よくあるパターンです。」


「へぇ〜。バンド組んでたの?」

「最初だけ。
やっぱり曲の趣味とかが合わなくて」


「解散しちゃったの?」


「はい。…その、軽音部で、ある人に出会ったんです。


先輩なんですけど、2つ上の。
実を言うと、新歓のときにその先輩が演奏してる姿が格好よくて…入りました。」


学校の体育館のステージで、
自信満々に歌う姿。


そのステージ、
あの頃の私にはアリーナのようでキラキラしてる彼らに目が眩んだ。


そしていつしか彼に、
尊敬以上の眼差しを向けていた。


「私も上手くなりたくて、頑張って頑張って練習してました。
歌もギターも初めてで、わけわかんなかったけど、とにかく楽しかった。」



お茶を入れた湯呑みを
テーブルへと運ぶ。


その間にも湯気が流れる。